
アクセシビリティとユーザビリティ、同じベクトルになることもあれば、
真逆を向くことすらある、2つの概念です。
インターネットといえばPCしかデバイスが無かったころは、
音声ブラウザなども含め、どんな環境でも同じ量の情報を取得できるように、と
アクセシビリティを重視する風潮がありました。
アクセシビリティ的観点からすると、リンクに「詳細はこちら」などとあっても
リンク先にどんなコンテンツが待ち受けているか一切想像ができないため、
決して使ってはならない、禁じ手のラベルでした。
ところが、時を同じくしてブロードバンドの普及率が劇的に上がり始めたころ、
当時のインターネットリテラシーのあるユーザーが、
慣れ親しんだリンクラベルは「詳細はこちら」でした。
様々な企業サイトやキャンペーンサイトで「詳細はこちら」が多様され、
例えデザイン的にボタンには見えなくても、そこに「詳細はこちら」とさえあれば
クリッカブルである、と認識することができるマジックワードでした。
インターネットに力を入れ始めた企業などは、
富士通が策定したアクセシビリティガイドラインや
JISで規格化されたアクセシビリティに則り、
こぞってサイトをリニューアルし始めました。
この時、「詳細はこちら」は衰退するかと思ったのですが、
一部のユーザーから「分かりにくい」と強烈な反発を受け
「詳細はこちら」はリンクラベルとして今も生き続けています。
「詳細はこちら」は、少しご年配の方が得てして好むものだと
肌感覚では感じているのですが、PC利用歴が長い方もそこまでではない方も
詳細がどちらにあるのかを探し出す方法は、やはり年代により
バラつきがあるように思います。
2011年の今、40代以上が主なターゲットとなるサイトや
外資系企業のサイトでは未だに「詳細はこちら」が
大分幅を利かせているように感じます。(かなり主観的。統計は取っていません。)
アクセシビリティは宗教か
昔、何かのセミナーでアクセシビリティについての講演を聞いていた時、
「アクセシビリティは宗教だ」ととある広告業界で著名な方が仰っていたのを
忘れられずに覚えています。
サイトを作っていく上で、ターゲットやキャンペーン自体の目的を踏まえず、
盲目的にガイドラインにそってただ単純に作っていると、
ある種それしか依り所がなくなってしまい、信じるものはガイドラインしかないと洗脳され、
自分の考えが無くなっていってしまう、そんなことへの警鐘だと認識しています。
多くの方に見ていただくものを作る際は、やはりターゲットや目的を
見失わないようにしなければならない。
最も基本的なことだと思いますが、難しいことです。
私は「詳細はこちら」は今後も使われるべきだと思います。
明確にひいたコンテクストの中では、これほど強いリンクラベルは無いし、
「何これ?」「もっと詳しく」といった”餌にかかった”ユーザーが、
次に思う言葉は「詳細はどちら」だと思うのです。

